ITエンジニアが転職軸を決める方法【7社受けて4社内定した実体験】
転職活動を始めたとき、最初に何をしましたか?求人を眺める、エージェントに登録する——そういう動き方をした人は少なくないと思います。自分もそうでした。でも正直なところ、転職軸を決めないまま動くのは、地図なしで旅をするようなものです。この記事では、7社応募して4社から内定をもらった経験をもとに、ブレない転職軸の決め方を具体的に解説します。
目次
- 転職軸を決めずに動くとどうなるか
- 転職軸の決め方:MoSCoW法を使う
- 実際の転職軸(自分の場合)
- 数値化とNGラインの決め方
- IF-THENルールで意思決定を自動化する
- スコアカードで企業を比較する
- 転職エージェントの活用
- まとめ
転職軸を決めずに動くとどうなるか
転職軸がないまま動くと、面接で「なぜ転職したいのですか?」と聞かれたとき、答えがブレます。エージェントに「どんな求人を紹介すればいいですか?」と聞かれても、うまく答えられない。複数の内定が出たとき、どれを選べばいいか分からなくなる。
これは意志の弱さではなく、判断基準が言語化されていないことが原因です。転職軸を先に決めておくと、企業選びも、面接の準備も、内定後の意思決定も、驚くほどシンプルになります。
転職軸の決め方:MoSCoW法を使う
ソフトウェア開発の要件定義でよく使われる「MoSCoW法」は、転職軸の整理にもそのまま使えます。
- Must(絶対に必要):これがなければ内定を断る条件。1〜2つに絞る
- Should(できれば欲しい):重要だが、Mustが満たされれば妥協できる条件
- Could(あればラッキー):なくてもいい。叶えばプラスになる条件
- Won’t(今回は捨てる):今回の転職では優先しないと決めること
ポイントはMustを1〜2つに絞ることです。「全部Mustにしたい」という気持ちは分かりますが、それでは判断軸が機能しません。「この1点さえ満たせれば他はある程度妥協できる」というものだけをMustにします。
実際の転職軸(自分の場合)
参考までに、自分が実際に設定した軸を共有します。
Must(絶対条件):フルリモート × フレックス × 副業OK
なぜこれが最優先かというと、三毛猫の凜ちゃんと暮らしているからです。高齢になってきた凜ちゃんと、離れた場所に住む両親。どちらにも、必要なときにすぐそばにいられる働き方がしたい。それができない働き方は、どれだけ年収が高くても長続きしないと判断しました。通勤も、固定時間拘束も、今の自分には合わない。これは感情論ではなく、10年後の自分がどう生きたいかから逆算した判断です。
Should(できれば欲しい):モダンな技術スタック × フルスタックに関われる
TypeScript、Go、React——今後も価値のあるスキルを積み上げたい。会議と特許申請に時間を取られる環境はもう十分です。設計から実装まで手を動かせる環境を選びました。
Should:年収は現状維持〜微増
MustとShouldの2位が満たされるなら、年収は大きく下がらなければOKと決めました。「年収を上げること」を1位にすると、Mustである働き方の条件と矛盾する可能性があるためです。
Won’t(今回は捨てる):業界・会社の知名度・役職
プリンタ業界にいた経験から、業界よりも「何を使って何を作るか」の方が重要だと実感していました。知名度も役職も、今回は判断材料にしないと明示しました。
数値化とNGラインの決め方
「フルリモートが良い」では判断できません。条件を数値化することで、初めて比較可能になります。
各軸に対して4つの数値を設定します。
- 現状:今の職場での実態
- 目標:理想の状態
- 許容:妥協できるギリギリのライン
- NG(赤ライン):これを超えたら問答無用で辞退
例として残業時間で考えると、「現状:月10時間/目標:月0時間/許容:月20時間まで/NG:月31時間以上」という具合です。NGラインを1つでも超えたら辞退と決めておくと、内定が出たときに感情に流されずに判断できます。
IF-THENルールで意思決定を自動化する
複数の条件が絡むと、判断が複雑になります。そこで「もし〜なら〜する」というIF-THENルールを事前に決めておきます。
- 「フルリモートが満たされるなら、年収は現職比▲50万まで許容する」
- 「年収が+100万でも残業が月30時間を超えるなら辞退する」
- 「赤ラインを1つでも超えた企業は、他の条件に関わらず辞退する」
このルールを紙に書いておくと、内定が出たときに「あの企業の方が年収高かったけど…」と迷う場面で機能します。感情で判断するのではなく、事前に決めたルールで判断する。これだけで意思決定の質が上がります。
スコアカードで企業を比較する
複数の企業を並べて比較するときは、スコアカードが便利です。
- 各軸に重みをつける(Must=5点、Should=3点、Could=1点)
- 企業ごとに5段階で評価(5=完全に満たす、1=ほぼ満たさない)
- 重み × 評価 = 合計点で順位をつける
- 赤ラインを超えた企業は自動除外
最終的にHR系のSaaSスタートアップに入社することになりましたが、このスコアカードで比較したとき、フルリモート・フレックス・副業OKの3点すべてを満たした数少ない企業のひとつでした。感覚ではなく、数字で選んだという実感があります。
転職エージェントの活用
転職軸が決まったら、エージェントに共有する「要求仕様書」を作ります。
- Must条件(数値つき)
- NGライン
- 捨てる条件(Won’t)
- 狙う業界・職種の方向性
「この条件に合う求人だけ紹介してください」と伝えると、的外れな求人を大量に送られることが減ります。エージェントも時間を無駄にしたくないので、条件が明確な求職者の方がサポートしやすいのです。
まとめ
転職軸の決め方を整理すると、次の5ステップになります。
- 改善したいことを全部出して、MoSCoW法で分類する
- Mustを1〜2つに絞り、数値化とNGラインを設定する
- IF-THENルールを決めておく
- スコアカードで企業を定量比較する
- 転職軸をエージェントに共有する
「何となく転職したい」という段階から、「この条件が満たせる会社だけを受ける」という段階に変わると、選考の質も自分の納得感も上がります。7社受けて4社から内定をもらえた背景には、この軸の明確化があったと思っています。
ぜひ自分の転職軸を1枚の紙に書き出すところから始めてみてください。
この記事は2026年4月時点の情報を元に執筆しています。
