4社から内定が出て、逆に迷った話 — 複数内定をもらったエンジニアの最終決断プロセス
転職活動をまじめにやったら、内定が4社出た。
「やった、決まった」とはならず、正直「え、どうしよう」と思った。
4社とも「合格する理由がわかる」会社だった。全部ダメなら話は早い。全部行きたいならそれはそれで困る。一番厄介なのは、全部「悪くない」という状態だった。
この記事では、複数内定が出てから最終的に1社を選ぶまでにやったことを書く。転職軸での採点、エージェントへの相談、感情のシミュレーション——それぞれをやってみて、最終的にどう決断したかを正直に書く。
(記事4「転職エージェントを途中で断った話」の続きにあたる内容です。合わせて読んでもらえると背景が伝わりやすいです。)
4社の内定、それぞれどんな会社だったか
具体的な社名は出さないが、大まかな種別だけ書く。
7社に応募して最終選考まで残ったのが4社。分類するとこんな感じだった。
- 受託・SIer寄りの会社:2社(社員数は一方が大手、一方が中堅)
- SaaSプロダクト系の会社:2社(どちらもスタートアップ〜中規模)
全社リモートOKではあった。ただしフレックス勤務の実態と副業の可否に差があった。
自分の転職の必須条件は「フルリモート × フレックス × 副業OK」の3つだった(この軸の作り方は記事1に書いた)。この条件で絞ると、4社が2社に減った。ここまでは機械的に動けた。
問題は、残った2社がどちらも悪くなかったことだ。
転職軸で採点したが、差が出なかった
記事1で紹介したMoSCoW法の軸を使って、4社を表にして採点してみた。
Must(必須)・Should(できれば)・Could(あれば嬉しい)・Won’t(不要)の順で自分の条件に点数をつけていく。
Must条件をクリアした2社を比較したところ、Shouldの点数もほぼ同点だった。成長環境・チームの雰囲気・技術スタック。どちらも「いい」と言えてしまう。
数値化しても決まらないことがある
自分は「合理的に決めよう」と思う方なので、スプレッドシートで点数を出せば決まると思っていた。ところが、点数が拮抗すると今度は「どっちの方が高いと言えるか」で迷い始める。
加点する軸を変えると優先順位が変わる。減点する軸を変えても変わる。
これは論理の問題ではなく、「どの軸を重視するか」が実は感情で決まっているのに、それを数値に隠している状態だと気づいた。点数化は整理に使えるが、最後の一手にはならない。
エージェントに「迷ってます」と正直に話した
自力での採点が詰まったので、エージェントに正直に話してみた。
「2社に絞れているんですが、どっちか決めきれなくて」——そのまま伝えた。
「背中を押してくるだろうな」という予測に反して、担当者は整理の手伝いをしてくれた。
- 両社の残業実態・有休消化率などの社内情報(自分では取れない数字)を出してきた
- 「3年後にどうなっていたいか」を一緒に言語化してくれた
- どちらかを強く勧めてこなかった(これが重要だった)
転職活動の中でエージェントとのやり取りが一番有益だったのは、実は選考中ではなく複数内定が出てからだった。
「使い方次第」だと思った
記事4で書いたように、急かしてくるエージェントはいる。切り替えてよかったと今でも思う。
一方で、ちゃんと自分の軸を理解した上で伴走してくれる担当者は、迷いを整理する道具として使えた。エージェント = 求人を紹介されるだけの場所だと思っていたが、複数内定後の「選ぶフェーズ」での相談も価値があった。
特に自分一人では聞けない社内情報(実際の残業時間・チームの離職率・副業で何をやっている人がいるかなど)は、エージェント経由でないと出てこない情報だった。
「2年後の自分」で感情のシミュレーションをした
エージェントとの会話で情報は整った。でも「どちらにする」はまだ出ていなかった。
そこで最後にやったのが、感情のシミュレーションだ。
条件・数値・情報——それを全部横に置いて、「2年後、どっちの会社で働いている自分の方が楽しそうか」だけを考えた。
具体的なシーンを想像した。朝起きたとき。打ち合わせのとき。コードを書いているとき。どちらの方が「そこにいる自分」をイメージしやすいか。
SaaSプロダクトで、ユーザーに直接届くものを作り続けている自分の方が、明確にイメージできた。受託・大規模プロジェクトの環境は、これまでの仕事と近い。変化を求めて転職活動を始めた自分が、同じ環境を選ぶのは違う気がした。
最後に「断る会社への申し訳なさ」と向き合った
決断した後も、正直しばらく動けなかった。
選考を丁寧に進めてくれた会社に「お断りします」と連絡するのが申し訳なくて、返事を先延ばしにしていた。
でも先延ばしにすることで、断られる会社にとって余計に迷惑だと気づいた。返事が早い方が、相手も次の動きができる。「申し訳ない」という気持ちは誠実さではなく、ただの先延ばしだった。
エージェント経由での応募だったので、辞退の連絡もエージェントを通じて行った。「〇〇社は辞退します」と伝えるだけで、あとはエージェントが対応してくれる。直接やり取りするより気持ちの負荷が低く、これはエージェントを使うメリットの一つだと感じた。
最終的に決めた3ステップのまとめ
複数内定から最終決断まで、実際にやったことを整理するとこうなる。
- ステップ1:転職軸(Must条件)でまず絞る
Must全部◯の会社だけを残す。感情が入る前に論理でフィルターをかける。 - ステップ2:エージェントに迷いを正直に話して情報を補完する
自分では取れない社内情報を出してもらう。「どちらが良いか」を聞くのではなく、「判断に必要な情報」を補ってもらう使い方が有効だった。 - ステップ3:「2年後の自分」で感情のシミュレーションをする
条件が拮抗したとき、論理は役に立たない。最後は感情のイメージで決める。それが一番正直な判断だと思う。
複数内定で迷っている人へ
迷えるのは転職活動がうまくいった証拠だ。ただ、迷い続けることは誰のためにもならない。
この3ステップを順番にやると、「どこかで決まる感覚」が来ると思う。自分がそうだった。条件の採点で決まらなくても、エージェントに話したら少し整理できる。それでも迷ったら、感情に聞く。
転職の最終判断に「絶対の正解」はない。でも、自分の軸に正直に選んだ会社ならば、入ってから後悔しにくいとも思っている。
まとめ
7社応募・4社内定・最終的に1社を選んだ。「うまくいった」転職活動の中で、一番難しかったのは最後の選択だった。
合理的に選ぼうとすることには意味がある。でも、最後の一手は感情だった。「2年後に楽しそうな自分」のイメージが、論理の採点より正直だった。
転職軸を整理しておいたことで、Must条件での絞り込みはスムーズにできた。まだ軸を作っていない場合は、転職軸の作り方の記事も参考にしてみてほしい。
転職エージェントを使ってみるなら
複数内定が出た後の「選ぶフェーズ」でも、エージェントは使える。自分一人では取れない情報を補ってくれる。急かしてくる担当に当たったら、遠慮なく切り替えていい。
IT・Web業界専門で探したいなら
→ ユニゾンキャリア(IT・Web専門)で相談してみる
この記事で紹介している体験は2026年時点のものです。転職市場の状況・エージェントのサービス内容は変わることがあります。
