プリンタ会社のエンジニアがSaaSスタートアップに転職した理由【感情と判断軸の話】
転職を決めたとき、最初に考えたのはスキルでも年収でもありませんでした。「この働き方のまま、10年後の自分はどうなっているか」という問いでした。この記事では、プリンタ会社のエンジニアとして働いていた自分が、なぜHR系のSaaSスタートアップへの転職を決断したのか、感情と判断軸の話を正直に書きます。
転職を考え始めたきっかけ
きっかけは、ある月曜日の朝でした。出社の準備をしながら、「今日も会議が5つある」と気づいた瞬間、体が少し重くなる感覚がありました。特に嫌なことがあったわけではない。でも、何かがずっとズレているような感覚が、じわじわと積み重なっていました。
転職を「本気で考える」と決めたのは、そこから半年ほど経った頃です。決め手は一つではなく、小さな違和感がいくつも重なった結果でした。
前職での違和感——手を動かせない日々
プリンタ会社でエンジニアとして働いていた期間、技術的なことよりも会議と特許申請に時間を使っていました。コードを書く時間より、資料を作る時間の方が長い週もありました。
「エンジニアとして手を動かしたい」という気持ちが、少しずつ行き場をなくしていきました。業界自体の成熟度もあって、「次の5年でここから何を学べるか」を考えたとき、正直な答えが出なかった。
これは前職を否定したいわけではありません。安定していたし、一緒に働く人たちも良い人たちでした。ただ、自分が求めているものと、その環境が提供できるものが、少しずつ噛み合わなくなっていたというだけの話です。
転職の本当の理由——凜ちゃんと、両親と、自分の時間
技術的な環境への不満だけが転職理由なら、もっと早く動いていたと思います。本当の理由は、もう少し個人的なところにありました。
三毛猫の凜ちゃんと暮らしています。年齢を重ねるにつれて、体調を崩すことが増えてきました。朝、通勤のために家を出るとき、「今日も一日、凜ちゃんは一人だ」という感覚が積み重なっていきました。
離れた場所に住む両親のことも同じです。何かあったときにすぐ動ける状態でいたい。それが難しい働き方は、どれだけ条件が良くても長続きしないと、自分の中で結論が出ていました。
フルリモート・フレックス・副業OKという3つの条件を「Must(絶対条件)」にしたのは、感情論ではなく、10年後の自分がどう生きたいかから逆算した判断です。これが満たせない会社は、年収が高くても受けないと決めました。
スキルより先に「働き方」を決めた
転職活動をしていると、「どのスキルを伸ばすか」「どの業界に行くか」という話になりがちです。でも自分の場合、最初に決めたのは「どう働くか」でした。
TypeScriptやGoを使いたい、フルスタックに関わりたいという技術的な希望はありました。ただそれは「Should(できれば欲しい)」であって、「Must」ではなかった。働き方の条件が満たされた上で、技術的な環境も良ければ最高——そういう順番です。
結果として選んだのはHR系のSaaSスタートアップです。スコアカードで比較したとき、Must条件をすべて満たした数少ない選択肢の一つでした。技術スタックも自分の希望に近く、設計から実装まで手を動かせる環境であることも確認できました。
「年収を最大化する転職」ではなく、「10年続けられる働き方を手に入れる転職」を選んだ感覚があります。
実際に転職活動をしてみて
転職活動は、始める前の方が怖かったです。「自分のスキルで通用するのか」「今の安定を捨てていいのか」という不安は、実際に動き出した後より、動き出す前の方が強かった。
7社に応募して、4社から内定をもらいました。この数字は自慢したいわけではなく、「転職軸を明確にしてから動くと、選考の質が変わる」ということを伝えたくて書いています。Must条件に合わない企業は最初から受けなかったので、選考を通じてブレることがほとんどありませんでした。
転職活動で一番役に立ったのは、事前に判断基準を言語化しておいたことです。内定が複数出たとき、感情ではなく基準で選べた。それだけで、迷いの時間が大幅に減りました。
このブログを書く理由
転職を考えているエンジニアの中には、自分と似た状況の人がいると思っています。技術的な不満だけでなく、働き方や生活との折り合いで悩んでいる人。転職したいけど、何から始めればいいか分からない人。
このブログは、そういう人に向けて書いています。完璧な転職マニュアルではなく、一人のエンジニアが実際にやってみた話として。情報よりも「体験と感情」を優先して書いていくつもりです。
転職はゴールではありません。「今の最適解を選び続けること」の一つに過ぎない。そう思いながら、これからも書いていきます。
この記事は2026年4月時点の情報を元に執筆しています。
