転職の軸Apr 24, 2026

エンジニアが転職を「本気で考え始めた」瞬間の話 — 小さな違和感が積み重なるまで

15年いたプリンタ会社のエンジニアが転職を本気で考え始めた瞬間の話。大きな不満があったわけじゃない。フルリモートの壁、3年越しのキャリア希望の空振り、止めの一手になった品質監査研修。積み重なった末に動き出した実録。

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Coroccu — バックエンドエンジニア
#転職タイミング#きっかけ#エンジニア転職

転職を考え始めたきっかけを聞かれると、正直答えに困ります。

ドラマみたいに「この瞬間に決めた」というのはなかった。フルリモートが認められなかったこと、やりたい技術が3年経っても触れなかったこと、キャリア面談で希望を伝えても現実があまり変わらなかったこと。そういう小さな違和感がじわじわ積み重なって、ある出来事が「止めの一手」になった。

そんな話を書きます。


最初の違和感は「フルリモートができない」だった

コロナ禍でリモートワークが広がって、エンジニアとしては「家でも普通に仕事ができる」と実感しました。パソコンさえあれば問題ない。でも会社は週3出社のハイブリッドに落ち着いた。

理由を聞くと、実機を触る必要がある職種との兼ね合いもあるとのことでした。それはそうかもしれない。でも、自分の仕事はPCだけあればほぼ完結する。コロナ禍にはフルリモートでも仕事が回っていた。

それなら、実機が必要な人と、PCだけで仕事ができる人を同じルールにしなくてもいいのではないか。自分にはそこがどうしても引っかかりました。

上司に「フルリモートにはできないか」と聞いてみました。答えは「うちでは難しい」。

そのとき初めて、「じゃあ別の会社を考えた方がいいのかもしれない」と思いました。漠然とした、本当に小さな気づきでした。


「フルスタックになりたい」と言い続けて、3年経っていた

キャリアについて上司と話す機会がありました。「10年後どうなっていたいか」を書くシートがあって、そこにフルスタックエンジニアになりたいと書いた。バックエンドだけでなく、フロントエンドもインフラも、一人で設計から運用まで関われるようになりたいと。

その希望を伝え続けて、3年が経ちました。

フロントエンドを触る機会はほとんどなかった。組織の構造上、フロントエンドは別チームが担当していて、自分たちが入る余地がほとんどない。ユーザーが実際に触れる画面を作るという経験が、どうしても得られなかった。

キャリアの話を聞いてくれること自体はありがたかった。でも聞いてくれるだけで、実現に近づいているという実感がなかった。毎年同じことを書いて、毎年「なるほど」と言われて、また1年が過ぎていく。

「このまま5年後も同じ状況にいるのか」という感覚が、少しずつはっきりしてきました。


評価への違和感は、主因ではないけれど残っていた

チームで相当無茶なプロジェクトを抱えたことがありました。理不尽な状況の中で、みんなで本当に頑張って立て直した。自分なりにやれることはやったと思っていました。

でも評価はほとんど変わらなかった。

ただ、これが一番大きな理由だったわけではありません。私はもともと、評価されることを最優先に置いていたタイプではないからです。理不尽だなとは思ったけれど、「まあ、そういうものか」と受け止めている部分もありました。

それでも、違和感のひとつとしては残りました。頑張ることと報われることが、ここでは必ずしもつながらない。それを受け入れてしまったとき、少し何かが変わった気がしました。


止めの一手になった出来事

フルスタックになりたいと言い続けていたある時期、品質監査系の研修を受けるよう言われました。

誤解のないように書くと、研修そのものが悪かったわけではありません。受けてみると、思ったより面白い部分もありました。

ただ、ずれているとは思いました。

私はキャリア面談で、品質監査をやりたいとか、品質系の部署に行きたいとは一度も言っていませんでした。ずっと伝えていたのは、フルスタックに近づきたいこと。今のチームではフロントエンドの開発や設計に関われないので、そういう経験を積みたいこと。難しいなら、せめてクラウドやモダンな開発にもっと関わりたいこと。

そういう希望を2〜3年伝えても、ほとんど叶わなかった。その一方で、自分が全く希望していない研修が来る。

そのとき、「キャリアを聞くだけ聞いて、用意されるものが全然違うなら、何のために聞いているんだろう」と思いました。聞いてくれることと、それを実現しようとしてくれることは別の話だと、かなりはっきり感じた瞬間でした。

そこから、転職活動を本格的に始めようと思いました。最初は「とりあえず見てみる」くらいの温度感でしたが。


違和感を整理すると、転職理由が見えてきた

振り返ると、単発の不満で転職を決めたわけではありません。

自分にとって大きかった順に並べるなら、まずはフルリモートができないこと。次に、フルスタックやフロントエンド、クラウドといった方向に進みたい希望がなかなか叶わなかったこと。評価への違和感はありましたが、それは主因というより、積み重なった要素のひとつでした。

ここで大事だったのは、「嫌なことがあったから辞める」ではなく、「自分が大事にしたい働き方やキャリアと、今の環境がずれている」と整理できたことです。

転職を考えるとき、感情だけで動くのは少し怖い。でも、違和感を並べてみると、それが一時的な不満なのか、構造的に変わりにくい問題なのかが見えてきます。


やってみたら、思ったより求人があった

エージェントに登録して、求人を見始めたとき、少し驚きました。

フルリモートで、自分のスキルセットが活かせる求人が、思っていたより全然多かった。複数のエージェントを合わせると、50件以上は出てきた。

これは安心というより、驚きに近かったです。

世の中的にはフルリモート求人が減ってきているのではないかと思っていたので、「こんなにあるんだ」と感じました。一方で、見るのは普通に大変でした。フルリモートと書いてあっても少し怪しいものもあるし、自分の方向性と全然違う求人もあります。

求人票を読み、エージェントとも話しながら、これは違う、これは合いそう、と絞っていきました。カジュアル面談を受けてみて、会社の雰囲気や働き方を見てから判断することもありました。

中には、一社しか経験していないことを理由に合わないと判断されるケースもありました。でも、それはこちらからお願いしたい会社ではなかったというだけです。

アラフォーで、人生は一度きりで、独り身だから身動きが取れないわけでもない。凜ちゃんをそばで見ていられる働き方にしたい。そういう気持ちも重なって、「やってみよう」という感覚に変わりました。


振り返って思うこと

転職のタイミングは、「この瞬間」というより、小さな違和感の積み重ねで決まるものだと感じています。

フルリモートができなかったこと。3年言い続けたキャリアが実現しなかったこと。評価への小さな違和感も残っていたこと。それぞれは単独では「転職理由」になりにくい。でも全部が重なって、最後に「止めの一手」があった。

そして、実際にエージェントに登録してみて「思ったより求人がある」とわかったことが、気持ちを本物にした。不安だから動けないのではなく、動いてみて初めて見えるものがある、という順番でした。

もし今、似たような違和感が積み重なっているなら、まずエージェントに登録して求人を見てみることをおすすめします。「転職すると決める」必要はなくて、「市場を知る」だけでいい。それだけで、見え方がかなり変わります。

この記事は2026年4月時点の情報を元に執筆しています。