内定承諾のボタンを押した瞬間、「次に何をすればいいか」を何も決めていないことに気づいた。転職活動の本番は、内定が出てからだったかもしれない。
4社から内定が出て、逆に迷った話では、複数内定をどう絞り込んで1社に決めたかを書いた。この記事はその続きにあたる。
内定承諾から退職交渉・有休消化・引き継ぎ・入社日調整まで、実際にどの順番で何をやったかを正直に書く。「退職交渉が怖い」と感じている人に、少しでも参考になれば。
内定承諾後に最初にやること:入社日の確認
内定を承諾したとき、入社日として打診されていたのは「約1ヶ月後」だった。
ただ、これはあくまで企業側の希望日であって、交渉できる余地がある。まず確認したのは次の2点だった。
- 現職の就業規則に定められた退職予告の期間(多くの会社は1〜3ヶ月前)
- 有休の残日数と消化できる可能性
自分の場合、就業規則には「退職の1ヶ月前までに申し出ること」と書いてあった。有休が20日弱残っていて、引き継ぎを考えると実質1ヶ月半〜2ヶ月は必要だと判断した。
エージェントに相談したら「入社日の交渉は普通のことなので、企業側も理解しています」と言われた。実際、入社日を3週間ほど後ろにずらす交渉をしたが、特に問題なく応じてもらえた。
入社日はできるだけ余裕を持って設定した方がいい
退職交渉がスムーズに進まないケース(上司に引き止められる、後任が決まらないなど)を考えると、入社日に余裕があった方が精神的に楽だ。「ギリギリに設定して、退職交渉でもめる」パターンは転職あるあるらしく、エージェントからも「最初から余裕を持たせておく方がいい」とアドバイスされた。
退職交渉:一番怖かったが、一番あっさりしていた
転職活動全体を通じて、心理的に一番重かったのが退職交渉だった。
上司にどう切り出すか。引き止められたらどうするか。「裏切り者だと思われないか」——そんなことを数日考え続けた。結果的には、拍子抜けするくらいあっさりしていた。
切り出した言葉と、上司の反応
直属の上司に「一度お時間をいただけますか」と声をかけて、1on1の場を作ってもらった。
その場で「転職することを決めました」と伝えた。「検討しています」ではなく、最初から決定事項として話した。
「検討中」という言い方は引き止めの余地を作ることになると思ったからだ。決断は済んでいる。あとは手続きの話だという立場で話した。
上司の反応は「そうか、わかった。いつ頃を考えている?」だった。引き止めはなかった。
あとから聞いた話では、実は「辞めそうな雰囲気は感じていた」とのことだった。もともと自分が置かれていた状況(手を動かせない環境への違和感)は、上司もある程度把握していたようだ。
会社によって状況は変わる
自分のケースはスムーズだったが、業種・会社規模・上司の性格によって退職交渉の難しさはかなり変わる。
引き止めが強い職場、退職届を受け取らない対応をされるケース、退職交渉が精神的に辛くなるケースも実際にある。「退職代行を使った」という話は周囲でも聞く。あくまで選択肢の一つとして知っておいてよい。
引き継ぎ:「自分がいなくても回る状態」を目指した
退職交渉が終わったら、次は引き継ぎの段取りだ。
引き継ぎで意識したのは1点だけ:「自分がいなくても、後任が詰まらない状態にすること」。
具体的にやったのは次のことだ。
- 担当タスクとその進捗状況をドキュメントに書き出す
- 定常業務(週次・月次)の手順をメモに落とす
- 口頭でしか共有されていなかった情報を書いて残す
- 後任者(または上司)への質問セッションを設けて「引き継ぎ資料で不明な点」を消化する
完璧な引き継ぎは存在しない。自分が去った後も組織は動くし、引き継ぎ資料を読む人が補いながら進める。「すべて解決してから去る」は無理であり、不要でもある。
ただ、「なるべく迷惑をかけない」という気持ちを行動に変えることはできる。それをやり切ったという事実が、退職後の後ろめたさを減らしてくれた。
有休消化:権利として使い切った
残っていた有休を消化するかどうかも、最初は迷っていた。
「引き継ぎが終わっていないのに休んでいいのか」——そんな気持ちがあった。でも有休は法律上の権利であり、会社が時季変更権を行使できる条件はかなり限定されている。
上司にも「有休は消化させてほしい」と伝えた。特に問題なく受け入れてもらえた。
有休消化中は、転職先の入社準備に充てた。具体的には次の節で書く。
入社前にやったこと:環境準備と心の準備
有休消化の期間と、退職後から入社日までの期間を合わせて、入社前に時間が2週間ほどあった。
この時間でやったことを書いておく。
環境の整備
- 開発用マシンのセットアップ(転職先で使うスタックに合わせた環境づくり)
- 転職先の技術スタックのキャッチアップ(公開されているエンジニアブログを読む)
- 入社手続き書類の準備(雇用保険・年金関連の確認)
特に技術スタックのキャッチアップは、「初日から少し動ける状態」を作るためにやった。入社直後に「何もわかりません」という状態より、「予習はしてきました」という状態の方が、自分としても安心して臨める。
やらなかったこと:旅行・大きな予定
「転職の節目だから旅行でも」と思ったが、結局やらなかった。
入社直後は想定外に疲れるとよく聞く。新しい環境に体を慣らすために、入社前は意識的にペースを落とした。猫の凜ちゃんと過ごす時間を増やして、ゆっくりしていた。それが結果的には正解だった。
社会保険・健康保険の空白に注意
退職日と入社日の間に数日以上の空白がある場合、健康保険の任意継続か、国民健康保険への切り替えが必要になる。
自分は退職日と入社日を連続させることで空白をなくした。会社員にとって社会保険の空白は思いの外手続きが面倒なので、入社日の調整段階で意識しておくと良い。
エージェントは退職後も使えた
転職エージェントは「求人を紹介してもらうためのもの」だと思っていたが、内定後・退職後も連絡を取り続けたことで、いくつか助かった場面があった。
- 退職交渉の時期・言い方について事前に相談できた
- 内定先との入社日交渉を仲介してもらえた
- 入社後に「どうでしたか」と連絡が来て、気になっていた点を確認できた
エージェントとの関係は、内定が出たら終わりではない。「使える場面」は、選考中よりも入社前後に多いかもしれない。良い担当者と組めると、手続き全体を通して心理的な余裕が変わってくる。
まとめ:内定承諾から入社までの流れ
自分が実際にやった流れをまとめると、こうなる。
- 入社日の確認と交渉:就業規則の退職予告期間を確認し、余裕を持った入社日を先に提案する
- 退職の意思を伝える:「決定事項」として、最初から明確に伝える
- 引き継ぎ資料の作成:「自分がいなくても後任が詰まらない状態」を目標にする
- 有休消化:権利として使い切る。消化分は入社準備に充てる
- 入社前の環境準備:技術スタックのキャッチアップと書類準備を済ませる
全体を通じて感じたのは、「一番怖いと思っていたことが、実際にはあっさりしていた」ということだ。退職交渉も、引き継ぎも、事前に考えていたより難しくはなかった。
転職活動を振り返ると、最初に軸を決めたこと(転職軸の記事)が、すべての判断をシンプルにしてくれた。軸があると、内定後の意思決定も、退職の決断も、「この軸に従えば答えが出る」という状態になる。まだ軸を整理していない人は、先に読んでみてほしい。
この記事で紹介している体験は2026年時点のものです。退職手続きや社会保険の取り扱いは会社・状況によって異なります。詳細は所属組織の就業規則や社会保険事務所に確認してください。